書かないことと知らないこと


ひさびさの更新になりました。

cakesの「ホームレスを3年間取材し続けたら、意外な一面にびっくりした」という記事が問題を指摘されています。様々な批判はすでに出ていますが、ライターが社会問題について無知・無関心であるように文章からは読めることが炎上の一因だと思います。そのことでただ面白がっているだけに見えてしまう。記事の中に書かれていないことは、書き手が気づいていないことと受け取られても仕方がない、ということです。

cakesの記事内容とは関係ないですが、先月の「江古田のまちの芸術祭」の話をします。

わたしはギャラリー古藤さんで皮革工場の写真を6枚展示しました。そこでは皮革産業が部落産業であることについては、あえて何も言及しませんでした。しかしそのことで「この人は歴史的な背景を何も知らずに写真を撮っているのではないか?」と思われるリスクがあることは来場者のかたの反応からは感じました。

皮革が部落産業といっても、働いている人が部落にルーツのある人というわけではないですし、そもそも被差別部落出身者の定義は何か?という問いもありますし、皮革産業と被差別部落を結び付けることがある種のステレオタイプを強化してしまうという問題もはらんでいます。撮影を始めたころ、仕事でなく差別について取り上げられることにうんざりしているという意見も聞きました。

しかし、だからといって何も言及しないのは、単に無知であるととられても仕方がないのだろうと痛感しました。今後また展示することがあれば、キャプションの内容は工夫したいと思います。

  • URLをコピーしました!