ギャラリー古藤の公募展、終了いたしました。ご来場くださったかた、気にかけてくださった方、ありがとうございました! ご覧くださった方数名にテレビドラマ「団地のふたり」面白いですよ、と薦められたのでこれから見てみます。
江古田のまちの芸術祭は11月4日まで開催中ですので、引き続きお楽しみください。
会場に展示していた文章を掲載します。現在のパークヒルズの団地自治会の方にお話をお伺いしています。
団地の記憶 – Walk in the Green –
西武池袋線・ひばりヶ丘駅から徒歩10分ほどの場所にURひばりが丘パークヒルズの住棟が建っている。1959年にひばりが丘団地が竣工され、建替え後はひばりが丘パークヒルズと名称を換えた。
雑木林や工場跡地に、182棟が並ぶマンモス団地ができたときは「陸の孤島」といわれたほどまわりに何も無い状態だったが、団地自治会や住人の方々の働きかけにより徐々に環境が整っていった。幼稚園も不足していたので、1962年に団地の母親たちが協力して自主運営の『たんぽぽ幼児教室』という幼稚園類似施設をつくった。建替えに伴い敷地には住宅が建設される話が持ち上がったが、自治会の反対運動により残ることになった。
建替え時に、団地の樹木は一部移植され、現在も残っている。小さな公園のようなスペースがいくつかあるが、近所の保育園などのお散歩コースになっているという。
団地の自治会長の篠原重信さんがそのことについて話してくれた。
「賃貸、ということの良さですね。具体的に言うと、分譲の場合は必然的に個人の財産になるでしょう。一番いい例は芝生。それ自体が住宅構成する広い意味での財産の一部になるから、他人を入れないできれいなグリーンを守ろうという考えになるんですね。私たちの賃貸住宅はこういう芝生の良い環境を自分たち、居住者だけじゃなくても、要するにあの近隣の保育園の子供たちも来て安心して遊べる場所として使ってもらう。せっかく恵まれた空間ですから、居住者ももちろんだし近隣の方、子供たちも含めてその周辺の方であっても安心して子育てができるような、そういう空間として共有していこうと言う考えになってるってことですね。」
団地内の環境という点では、自治会で緑のワークショップという活動も行っている。
敷地内にある5つの共同花壇を運営管理し、会員と一緒に春植えと秋植えを行う活動だ。花を買って各花壇に分配し、季節ごとの花を楽しめる環境を作っているという。
また、自治会では、住人のちょっとした困りごとのための『助け合いの会』の活動も行っている。篠原会長と、昔は江古田にお住まいだったというAさんにお伺いした。
「もとはよその団地で『助け合いの会』があると聞いて、うちもやりましょうということで、立ち上げたんですけどね。もう立ち上げてから5、6年になりますかね。
高齢者で独り暮らしの方が多いんですよ。そうすると、ご自分で電球交換とか、そういうちょっとしたことができなくなって。一番多いのが粗大ゴミ出しですね。あとは布団干しができないから手伝ってほしいとか、お風呂だけを清掃してほしいとか、あるんですよ。珍しいのはFAXの用紙を取り替えてくださいとかね。15分100円でやってるんですけど、だいたい一時間以内で終わっちゃう仕事がほとんどですね。
これ介護保険でできるかっていうとそうじゃないから。」
Aさんは建替え前はテラスハウス(庭付き2階建ての長屋住宅)にお住まいだったそうだ。
「テラスハウスはね、鳥が来ましたね、うちなんか鳥が来るとみかんあげたりして。小鳥がよく、目白だとかヒヨドリとか。それからツグミなんかも来てましたね。うちはね、木で餌台を作って餌を置いてあげるとよく鳥が飛んできてね。それを部屋の中から覗いて楽しんだことがありましたね。」
庭はガーデニングや木を植えたり、物置に使うなど用途はさまざまだったそうだ。
「庭に木を植えるのはいいんだけど、出るときに伐採して処分していく必要があるんですね。うちも一本大きな木があったんですけど、それは入居前からあったんでとURに言ったら、それはじゃあいいですよっていうことで。誰が植えたのかわかんない大きい木があったんですよ。」
庭に増築したいという場合は、長屋住宅の全員の同意があれば可能だったという。
「6軒長屋だったんですよね。1階は四畳半かな。2階が三畳と六畳だったんですよ。1階はお風呂場とキッチンがあってね。で、庭が広かったでしょ? それで、狭いからって庭に一間、建て増ししたんですよ。6軒全員が賛同して、庭に六畳の建て増しして4Kになったんだけどね。家賃上がりましたよね。だから庭が半分ぐらいなくなっちゃったんですよ。結構広かったんですよね。」